霊夢とミツハノメノカミの闘い。神と人間では勝ち目なんて決まっているものだが、霊夢は違う。今まで色々な神、妖怪、妖精、魔法使い等々、たくさんの人と戦って勝った博麗の巫女だ。霊夢自身も負ける気はしなかった。
(こいつを倒し、雨那を救う…。そうすれば、この異変も終わる)
 霊夢は符を取り出し、深呼吸をした。
「一気にカタをつける!神霊『夢想転生』!」
 霊夢の周りが白いオーラに纏われた。また、顔の右側に狐の仮面が装着されている。霊夢自身、初めての転生に少し戸惑った。そう言えば、先代の夢想転生も黒の狐の仮面を被っていたっけ。
「………母さん……。っ!」
 少し感傷に浸りすぎてしまった。ミツハノメノカミの不意打ちを即座にかわし、攻撃態勢に入った。ミツハノメノカミも水を自在に操り、スライムを人間と同じ形に作り上げ、雨那の分身となった。分身は雨那と同じ祓い棒と符を取り出し、攻撃態勢を構えた。
「雨符『アメイジングウォタガン』!」
 分身の周りに色々な銃が召喚され、銃撃の弾幕を張った。霊夢は弾幕をかわしつつ、前に突っ込んだ。
「バカ者が!そう易々と前に来させるか!」
 霊夢が一歩踏み込んだとき、カチッと音がした。
「……え……」
 霊夢が踏んだのは地雷らしく、踏めば爆発仕掛けになっていた。霊夢は、そのまま爆発に巻き込まれ、その場に倒れた。
「ふふふ……安心せい。その地雷はただの地雷じゃない。食らったものに水を貼り付かせ、動きを鈍らせることが出来るのだ」
「くっ……足が……」
 霊夢の足に水が溜まりくっついていた。まるで重りを着けているような感覚だ。しかし、これぐらいで終わるわけにはいかない。霊夢は立ち上がり、飛び上がった。
「空に逃げたところで無駄だ!この無数様々な弾幕を避けられると思ってるのか!?」
「避ける……?何を言ってるのかしら?」
 霊夢は符を取り出し、結界を張った。
「霊符『夢想封印』!!」
 霊夢の周りが光に包まれて、弾幕を吸収していく。そのまま分身に突っ込み、捕まえた。
「どうよ?追い着いたわよ」
「ぐっ……。雨符……」
「使わせないわよ」
「ぎぁっ!?」
 分身が使おうとしたスペカを持つ手を鬼針で深く刺し、手を使えなくした。分身は鬼針を抜こうとしたが、触れると痛みが走る。
「無駄よ?闇に堕ちている貴方に鬼針は猛毒。触れるだけで毒が身体全体を襲うわ」
 霊夢は一度離れ、鬼針を補充し、スペカを取り出した。鬼針によって、上手く身動きの取れない分身は、鬼針の刺さった自らの腕を切り落とし、新たな腕を作り出した。
「次はこうはいかないぞ!雨符『マスタースパークレイン』!」
「魔理沙の技!?」
「ふふふ…。雨が技を覚えて帰ってくれるからな。これもできるぞ?霊雨『夢想転生-水神-』!」
 分身が水流に巻き込まれ、変化している。分身の周りに尖った水の翼、腕は鋭い爪、頭には水の環ができた。
「これが私の夢想転生だ。こっからが本番だ!」