--- 水神社 入口 ---
 青蛾と会った地点から約5分で水神社の入口が姿を現した。改めてみると、そこまで大きくはない寺社だ。奥行きもそこまてまなく、入口と本殿だけの小さな寺だ。しかし、この中に雨を降らす神と青蛾がいる。霊夢は、万が一のことを考え、魔理沙と早苗が追い付いてくるのを待った。
 数分後、回復したばかりでまだふらつく魔理沙を担いで、早苗が到着した。霊夢は魔理沙を寺社の入口の階段に座らせ、早苗と2人で寺社の中へと侵入した。
 中は薄暗く、少し重い空気が感じられる。その神のとても暗い何かが寺社全体にのしかかっているようだ。それに、若干寒気がする。少し進むと、屋内なのに雨が降っていた。どういう原理かは分からないが、普通の雨ではないことが分かる。霊夢が手を差し伸べて雨に触れると、霊力が少し減った感じがする。
「早苗、ここから先は気を付けて。雨に触れると少しずつ弱体化していくわ」
「あ、はい!」
 霊夢と早苗は身体の回りに結界を張り、更に奥へ進んだ。一番奥まで進むと、この寺社で祀ってる御神像が姿を現す。だが、それを一目見て2人はたじろいだ。
「なに……これ……」
「こんなの…見たことありません……」
 人型でも、動物型でもない名状しがたい異形の御神像が霊夢と早苗を見つめていた。まさに不気味の一言しか言葉に出来ない。あまりもの衝撃に顔が引き攣ってしまうほどだ。よく見ると、御神像の天辺に人影が見えた。しかも、先程戦った隺青蛾が、上から見下すように腕を組んでニヤリと笑っていた。霊夢は挑発に乗らず、真剣な表情で青蛾を睨み返した。そんな中、早苗がもう一つの気配を感知した。御神像とは逆、2人が通ってきた方向から、水色の巫女服を身に着けた少女が、音を立てずに静かな足先でこちらに向かってきた。
「霊夢さん…。後ろにも一人……しかも……。私達と……同じ巫女です」
「えっ……!?」