「あんたに恨みとかないけど…邪魔するなら容赦しないわ…!」
 爆撃は、森の中全体からランダムに射出されている。そこから、主となる反応を割り出し、森の中から掃き出すという方法を考えた。まず、陰陽玉で高出力で放出される地点を見つけ、そこに、爆雷針を打ち込み、本体を森の上空へと打ち上げる。
「……ひぃ……ふぅ……みぃ………全部で8つね」
 高出力地点の中心地に爆雷針を打ち込み、準備を進める。全ての地点に打ち込んだ所で、スペカを手にし、高らかに天の方へ掲げた。
「雷撃!『雷神召檄爆破』!!」
 暗雲から光を帯び、爆雷針目掛けて、地響きする程の太く高出力の光の柱が着弾した。着弾した部分の上空に、周りの草木や周辺にいた妖精達が、上空へ吹っ飛ばされた。が、大妖精の姿はない。
「もしかして…これは全部ブラフ…!?」
 瞬間、後ろから鋭い殺気を感じた。霊夢は、寸での所で回避をしたが、大妖精の姿は見えず、手の打ちようがなかった。
「これは少し厄介ね…。黒いあのもやは、一体どんな効果を秘めてるのよ…」
 霊夢は立ち止まり、次の襲撃に備えた。さっきの殺気は、1秒をも切る速さで攻撃を仕掛けている。普通の妖精では、こんな殺気と攻撃はまずできない。吸血鬼のスカーレット姉妹なら可能だろうけど…。
「仕方ない…。あまり、使いたくは無いけど…」
 霊夢は周りに札を展開し、その札から弾幕が張り巡らされた。更に、霊夢を中心に魔方陣を展開し、詠唱した。その間、わずか0.5秒…大妖精による先程と同じ殺気が、霊夢の左斜め下方向から突き刺した。霊夢の胸部に刃が刺されたが血はない。大妖精は、罠に嵌められたのだ。刺された霊夢は札となり、大妖精を包み込む。
「……霊符…『夢想封縛』」
 無数の弾幕と札に包み込まれた大妖精は、そのまま森の下へと落ちていった。
「……………」
 今までの状況を整理するに、この雨に濡れた者の深層心理を具現化した影が顕れる。また、その影は、常人の潜在能力を遥かに超えた力を備えている。今の甘い考えじゃ、確実に切れる。やはり、魔理沙は連れてくるべきだっただろうか…。とりあえず、進もう。待ってる暇などないからね。