君だけを






私がシートベルトをつけたのを確認すると、車が動き出す。





特に話すこともないので、沈黙が続いた。






先に沈黙を破ったのは、部長だった。





「...今日は、大丈夫だったか?」





「何がですか?」





主語がないから全く、伝わらない。





「セクハラだ。」






女性社員に向かって、よく言えるなぁ。






「...別に、どうってことありませんから。」





「また、されたのか?」






またって、知ってたんだ。





知ってたんだったら、助けてくれればいいのに。





なんて、普通のか弱い女の子だったら言うんだろう。





私は、言わなければ思いもしないけど。





「部長には、関係ありません。」






分かってるんだから、隠しても仕方ない。






でも、私にもプライドがある。