「はぁ…そうなんですか…」



非効率的だなぁ。面倒くさいし。


じゃあ先代魔王…12代目様は、11代目様に英語を教えて貰ったのかな。


悪魔文字、なんて。


そんな縛り、なくしてしまってもいいのに。



「そのような悪魔文字が刻まれる石碑は、世界中に点在しています。


特に影夜国を中心に」


「へぇ…」


「アシュタロトは、邪神ルシファーが創り出し、始祖様である初代魔王陛下と人間の王が国を発展させたと言われています。


その時代の記述はどこにもないので、魔族と人類の争いの大元の原因は未だわかっていないのです」



そう言うと、ランスさんは石碑をじっと見た。


…本当は、読みたいんじゃないのだろうか。


それを、ずっと我慢しているんじゃ…?



「人間の始祖が記し、人間の王族のみに伝えられる『神聖文字』の石碑。


そして、初代魔王陛下が記し、魔王にのみ伝えられる『悪魔文字』の石碑。


これらの文が揃えば、真の始祖の時代の歴史を知ることができると伝承されてはいますが…」


「始祖の時代の、歴史…」



興味が湧いてきた私が、その言葉を繰り返すと。


ランスさんが言った。



「我らの戦いには…最早、理由などいらないのです。


ただ、相手を倒し…支配し、統一する。


それが、アシュタロトの平和への唯一の手段なのですから」