「さぁどうするの、返すの返さないの!?


本当に警察に通報するわよ!」


「かか、返します!だから警察はやめてください!


私はただのバイトなんですぅ!いつもの占い師が腰痛で休みで、臨時で入ったんですぅ!」



紫色のベールを被った占い師の女性が、慌てふためいたように、私に野口さんを押し付ける。


どう見てもベテランの装いじゃないですかあなた。



…え、まじで?まじでインチキでした?


信じられない、騙された。


というか確かに、冷静に考えれば先輩の言うとおりかなり胡散臭い話だった気もする。


このままじゃ割に合わない、さらにメンツも立たない、と私はすごすごと店じまいを始めた占い師にあわてて言う。



「あ、あの!せめてラッキーアイテムとか、教えて下さい!!」


「は?ラッキーアイテム?」


ええと、と視線を足下に落としたあと、占い師は早口で答えた。