怖いこの二人……。


内心ビクつきながら、私は言い捨てて背を向けるランスさんの後に続く。


するとレンが言った。



「愛美。そういえば教えてなかったな」


「ん?」



「俺の昔の名前、二ノ宮蓮司(ニノミヤレンジ)っていうんだよ。


……あんまり変わらないだろ?今と」



にのみや……れんじ。それが、レンの昔の名前か。


心の中で反芻する。


確かに……そうだね。似てるよ、今の名前と。



「じゃあ改めて宜しく、蓮司」


「おう、またな……愛美」



私は片手を上げると、再び前を向いて歩き出した。


もう振り返らない。


立派な魔王になって、祖父の遺志を継ぐまで……私は前進し続けよう。