「どうして。どうしてお前が……ッッ!!」



レンの声が、どこか遠くに聞こえる。


思考回路がどこかにいってしまったかのように、私の心は答えを求めて彷徨う。


どうして、なんて。



それは、一番私が聞きたいことだ。



「竜は幻獣だぞ!魔物を束ねる最強の存在だ!!


それを、魔王の幹部が殺していいのかよ!?」


「おや。ずいぶん口調が荒くなりましたね、勇者」


「そんなことを話してるんじゃない!話題をすり替えるな、“智の王”!!」



叫んだレンに、ランスさんは笑みをたたえた。



「もともと魔物は魔族に仕えるものですよ。それを魔族が粛清して何が問題だというのですか。


ましてや、魔物の身で聖剣を守る守護獣を名乗るなど」



殺されて当然では?と。


飄々とした表情で、彼は…言った。



違う。違う、違う。この人は、私の知ってるランスさんじゃない。


ランスさんはもっと優しくて、メイドさんのことも癒してあげていて、


微笑みだって、甘くて爽やかで。



こんな残忍な笑みをする人……私は知らない。