「まさか……王都に到着してその翌日に、また東大島に戻ることになるなんて…」


「泣き言言うな。こっちまで泣きたくなるだろ」



レンが、切なそうな目で、古びた地図を見る。


彼が切ない目をしている原因が、恋とかだったならば、きっとドラマの1シーンを見てるように絵になっている。


…残念ながら、違うのだが。



そう、そこに記された、聖剣のある洞窟場所とは、東大島にある中立区域の東、


迷いの森のそのまた奥に位置していたのである。


また売れそうなものを換金してお金を作ったものの、私達の状態は素寒貧に等しい。



また、あの吐きそうになる安船で航海することになるんだろう。


レンが切ない目をしていたのはそのせいである。


ほんと泣いてもいいかな。



「せめて…あの安船でも…スイートルームに乗りたい」


「無理だ諦めろ。迷いの森で野宿したいのか」


「嫌ですごめんなさい」



闘技場で試合をしたその翌日の朝早く、私達は東大島行きの船に乗り込むべく、王都を出た。


そして港へ向かう。



ああ、まったく…今から、すごーく、すっっごーく、憂鬱だよ。