疑惑を目を向けている私とレンに気付かずに、お姉さんが古びた紙と、黒い石板を持ってくる。


古びた紙は地図だろう。B5サイズくらいか。


石板は25cm四方くらいだろうか。石碑よりずっと小さい。


ギリギリバックに入るサイズだ。



マイクを外したお姉さんが、私達の前に立つ。


そしてニコッと笑うと、こちらへ寄って来るように目配せしてくる。



私はレンを地図と石板を受け取るように促した。


レンは軽く頷くと、一歩前に踏み出して。



ピシッ…カシャァン…ッ



え?


ささやかだが、確かに何かが壊れる音がした。


あわててレンの方を見ると、彼は屈んで自分の足元に落ちたモノを拾い上げた。



手にあったのは、割れた色つき眼鏡の破片。


やばいっ!もし瞳の色がバレたら…!


焦ってお姉さんの顔を見るが、彼女はにこやかな笑顔のまま、その場で立っていた。



瞳の色はバレていないようだ。


ほっと息をつく。


でもなんで、いきなりかけていた眼鏡が落ちるんだろう…?



レンは若干顔を伏せながら、再びお姉さんの正面に立った。