そんなの聞いてないぞ!!



「無理だよ無理無理!!私、この世界に来てまだ5日目だよ!?


それなのにペーパーテストって無理に決まってるよ!!」


「んなこと言ったって、しょうがないだろ。


競技は競技なんだから」



レンは冷めた目のまま、それに、と続ける。



「これはチャンスだ、愛美」


「なんでチャンスなのよ。レン話聞いてた?」


「教会が王府に情報を渡したくないなら、騎士団は最初に潰しにかかる。


おそらく父は試合と聞いて、腕の立つ者だけを派遣してるはず。


稽古ばっかりのあいつらは多分みんな脳筋だ」



自分を守ってくれる人達に対して、なんて言い草だ。


まったく最悪だ。告げ口してやりたい。


日本人としての奥ゆかしさをこの男はどこに置いてきたんだ。



「だから、とりあえず気合でいけ」


「何言ってんの?やっぱりバカなの?レンこそ脳筋なんじゃないの?」


「しっかりしろ、次期魔王」


「魔王関係ないでしょ!!」