「やっぱり、王都となると……違うもんだね」



船を降りて、真っ先に目に飛び込んできたのは、色とりどりの建物。


家というより、アパートメントだろうか。レンガ造りのものや、石造りのものがある。


壁は赤やオレンジなど、多彩。



街の中心に向かって坂になっているらしい統一王都マーキュリーは、


向こうの方に綺麗な宮殿が見える。



うわあ、中世フランスって感じ。


ヨーロッパに観光に来たみたいだ。



だが、私にはそううっとりしている余裕はない。



「でもレン、これからどうするの?レンはお城に戻るの?」



そう。


今まで共に旅をしていたレンにとっては、故郷に帰ってきたのだ。


家であるお城に戻るのが筋だろう。


そして勇者帰還を国民に知らせる必要があるはずだ。



でも、レンがいなくて、私これからどうすればいいんだろう。