荷物をまとめ、降船手続きを終えると、私は部屋の鍵を返しに、フロントへ向かった。


フロントの受付のお姉さんは、金髪碧眼。人間である。


やはり、人間の国の王都行きの船だから、クルーも人間なのだろう。



そんなことを思いながらお姉さんに鍵を手渡すと、彼女がおずおずとした様子で声をかけてきた。



「あの…失礼ですがお客様は、魔族と人間のハーフでいらっしゃいますか?」


「へ?」


「あの、色つき眼鏡を通してでも、瞳の色が蒼より少し暗いように思えましたので……」



やばっ。


私は思わず眼鏡のツルを押さえる。



「まあ、そ、そんなところです」


「そうですか。……老婆心ですが、お気をつけなさいませ。


王都では戦争の影響で、ハーフの方への風当たりが強くなっています」



そっか……。そうだよね。敵である魔族が王都にいれば、嫌だと思う人はいるよね。


気をつけなきゃ。



「わざわざ、ありがとうございます」