「待てえええ!!」



後ろの看守たちも迫ってくる。ここで足は止められない。


それならば!



「レンっ、そこにいて!」



階段を上りきり、私は上がってくる看守たちを横目にしながら叫ぶ。



「不死鳥(フェニックス)!!」



刹那。


辺りは赤い光で包まれ、呆然とする竜人の看守とレンの前に現れたのは、


古代の幻獣、不死鳥。


赤い羽根に黄金の瞳が私を捉えると、呆れた色に変わった。



『……貴女という人は。あれほど魔族の土地には呼ぶなと言ったでしょう』


「ごめんなさい!早くのせて!逃げたいから!」



『……人の子まで連れて。この聖力、よりによって王族ですか。全く、仕方のない人ですね……』



不死鳥の羽ばたきで、地上が赤い炎に包まれる。


戸惑う看守たちを炎の向こう側で見ながら、私はあわてて不死鳥の背に上った。


唖然とするレンも引き上げる。



「飛んで!不死鳥!!」