私は、眉尻を下げながら石碑を見上げた。


そして。



「あれ…これって…」



石碑に記されるアルファベット。確かに英語に比べて見慣れないものだが、これなら…読めるかもしれない。


なぜならこれは、フランス語。



そして私には、それを読める理由がある。



「レン! もしかしたら私、頑張れば読めるかもしれない…神聖文字」


「はっ?だってこれフランス語だろ?高校必須科目じゃないはずだけど」



レンもフランス語だってわかってたんだ。


きっと優等生だったんだろうな、と思う。


けどここは、上級生の面目躍如だ。



「私の外国語選択科目、フランス語なの」



そう。


私の通う私立以詰面学園では、高等部に上がると、英語の他に2カ国語目の言語科目を選択しなくてはならない。


その選択肢は、ドイツ語、ロシア語、イタリア語と多岐にわたるが、


私はなんとなくで、旅行してみたかったフランス語を選択した。



それがここで功を奏すだなんて…!



「さすが超進学校…愛美がまさかフランス語が読めるなんて」


「失礼な!だから私は落ちこぼれじゃないって言ってるでしょ!」



私はそう言うと、再び石碑を見上げる。


そして和訳を開始した。