え?神聖文字? …それって、人間の王族しか扱えない文字だよね…?


私がスマホで石碑を照らしたまま、困惑しながらレンを見ると、彼は整った顔を歪めた。



「どうして神聖文字の石碑が、スレイブヤードに…魔族の土地にあるんだよ…っ」



その苦しげな声に、私はハッとした。


そうか。この石碑はここにあってはならないものなのだ。


これでは、魔族が神聖文字の石碑を隠蔽したかのように思える。



神聖文字の石碑は、人間達の歴史を記したものだ。


…つまり、それを隠したとなれば、更なる戦争の火種に成りうるということ。



「くそ、なんて書いてあるんだ…?」


「えっ、王子なのに、読めないのレン!?」


「神聖文字の読み書きが教えられるのは、王位継承権を持てる18歳になってからなんだよ!」



そんな…。


せっかく不死鳥の言っていた、戦争を止める手がかり…『歴史』の記録がそこにあるのに、読めないだなんて。