「はぁ、はぁ、はぁ……っ、階段、まだなの!?」



だいぶ通路を走ったような気がするのに、いつまで経っても地上への階段に辿り着けない。


どうしてなの?地下2階とそう構造が変わらないなら、すぐに階段に辿り着けるはずなのに。



「魔力で何か仕掛けられてたのか…?」


「そんなの知らないよ!レンの聖力は何か感じ取ってないの?」


「生憎、まったく。通路の向こうに本当に階段はあるのか……?」



レンが呟いたそばから、看守が蝋燭を持って駆けてくる。


あわてて屈んで身を隠し、息をひそめる。


地下3階にあったような、人2人が横にならべないくらいの狭い通路だ。



「どうしよう、暗いとやっぱり道もわかりにくいね。


暗闇に目が慣れてきたとはいえ……」


「とりあえずどこか、一息つける場所がほしいな」



確かにそうだ。


さっきから追われて逃げて走って、心休まるどころか、作戦を立てる暇もない。



「とりあえず、一旦はここで少し息を整えて……、


え」



そう言って、レンが狭い通路の行き止まりに手をついたその時だった。


その行き止まりの小さな壁が回転し、レンがその中に吸い込まれていったのは。