もしかして、暗くて見えないけど、足元凍ってる!?


走れないじゃん!ゴチャゴチャ喧嘩してる暇なんかないじゃんっっ!



「愛美溶かせるか!?」


「やってみるけどッ」



グルルゥ、という唸り声が近くで聞こえてくる。


うわ!何かが近くにいる!しかも超寒い!凍え死にそうだ。


しかもこれが氷狼とやらの唸り声だとするならば、また黒い炎を使えなければ、私の命は風前の灯だ。


始祖様、いえ初代魔王陛下!もう一度とか言ったの嘘ですごめんなさい!


だからやっぱり私に力を!!



ボッ。



今度は比較的小さな音がしたと思うと、しゅうう…という水蒸気が上がる音と共に、


足場が安定する。



「走るぞ!」


「グルルルルゥゥ!!」



手を掴まれて、私達は階段へと走り出す。


後ろから氷狼達が、鼻息荒く追いかけてくるのがわかる。


やめてぇぇワンちゃんたちぃぃ!!