私、考えが足りなかったのかな。


やっぱり、新前で、しかも仮の魔王の私じゃ、停戦協定締結なんてそんな大きなこと、成し遂げられるわけないよね…。



しゅんと肩を落とした私を見て、レンは少しだけ表情を緩めた。



「まぁ、俺も同じようなもんだから、人の事偉そうに説教できねぇけどな」


「!」


「ただもうちょっと、この世界のことを分かってもらいたかっただけだ。


俺も無謀にも和解交渉に踏み切って、ここに入れられたバカだからな。


帰れたら、あのクソ親父…じゃなくて父王にまた何か言われると思う」


「レン……」



どうして、こんな暗い牢獄の中に1人で何日もいたのに、


そんなに朗らかに笑えるの?


私だったら、絶対真似出来ない。



「…そんで、愛美」



唐突に妙に冷めた声になる美貌の王子サマ。


彼は1番重要なことを、実にさらりと言ってのけた。