「え…」



瑠璃色の目に射抜くように見つめられて、私は実感した。


彼は、生まれた時からここにいて、16年間王子として生きてきたのだと。


まだ日本に未練がある私と違って、未来を見据えているのだと。



私には、何かをするには、まだ覚悟が足りない。



「魔族と人間は、違う種族だからだ」



と、レンは続ける。


何も言えない私を叱るように。そして、何かを教えるように。


この世界に来た日本人の先達として。



「地球でも他民族間の戦争は何より惨い。人種差別だって同じようなもんだ。


アシュタロトでの戦いは、宗教戦争と同じようなもんなんだよ。


違う神を信じるやつは悪魔だ、つまり相手は自分と同じ“人間”じゃないと思うから、


いくらでも残酷になれる。女や子供にも、容赦しないほどに!」



…そうか。


人間と魔族は、違う種族。


自分と違うから、討伐するべきだってことなのか。



…人間は、どうしてそんなに残酷になれるのだろう。