「…俺も元々日本人だ。無駄な戦争はしたくないし、好きで勇者をやってるんじゃない。


…というか、敵のボスがこんなんじゃ、倒す意味すらないしな」


「こんなん!?こんなんって何、こんなんって!!」


「……………か弱い女子高生、って意味だよ」


「沈黙はともかく、せめて私の目を見て言おう!?」



全く…失礼極まりない王子め!


私が怒りながらスマホを拾い、電源を切る。


そして色付き眼鏡をかけ直した。



「でも、簡単なことじゃない」


「わかってる」


「いーや、わかってない」



レンは、ガシャン!と自分の繋がれた手の手錠を鳴らす。


びくっ、とした私を鋭く睨むと、低い声で言った。



「どうしてこの何世紀も、人間と魔族は分かり合えないんだと思う?


“智の王”ランスロットが休戦協定を結ぶまで、どうして1回も戦うのをやめなかったんだと思う?」