___そして。



「あああぁぁ…高いよぉぉ…怖いよぉぉ…落ちたら死ぬよぉぉ…」



私の脆い信念は、早くも上空…不死鳥の背の上で折れかけていた。


下が見える度、涙が出てきそうになるし、不死鳥が揺れたり旋回する度に、


死を覚悟しなくちゃならないし。



どうしてあそこから出てきたんだよぉ、分不相応でカッコつけて私のバカバカ…と、


絶賛後悔中だ。



『そんなに泣くならば、魔王城へ戻られれば良いでしょうに』


「うひぃ、後ろ向かないでぇ!揺れるぅぅ!」


『落ちれば私が空中で拾いますから御安心を』


「ありがとう!!でも落ちる前提で話しないでね!?」



前しか向かないんだ、私は魔王なんだ…とブツブツ自己暗示し続ける。


じゃないとこのまま高さからの恐怖と緊張で気絶しそうだ。



『そう言えば、彼も、私の背に初めて乗った時は、怯えてしがみついてきました』