「どこへ行かれるのです、陛下!


私がお供しますので、戴冠式まではどうか…」



「今動かなきゃいけないんですっ!!」



私は手に持ったかつらを被りその髪を整える。


そしてホバリングしたままの不死鳥の羽に掴まった。



「魔王になってしまったら、私はもっと自由に動けなくなるでしょう!


戦争を止めるなら今しかないですから!」


「陛下、いったい何を…」


「だから、」



私はきっ、とランスさんを睨んだ。


自分を奮い立たせるめにも。



「聖ミスリル統一王国の、王都まで行ってきます!!」


「なッ!?へい、」


「留守を頼みます、



“智の王”ランスロット!!!」



叫んで、私は不死鳥に「飛んで!!」と命じる。


視界の端に、呆気に取られたランスさんが見えた。


そして、爆風とGに耐えながら舞い上がり、私は急いで不死鳥の背中によじ登った。



___これで、もう後には戻れない。


前に進むだけだ。