2012 Winter


「はー……」


 今日になって何度目かのため息。窓の外に広がる雪景色に目を向けながら、あたしは今朝の登校時に起こったできごとを反芻していた。
 あたしよりも低い位置にある顔を真っ赤に染め上げて懸命に告白をしてくれた、あの由樹人くんの姿を。

 2つ下で、中学時代の後輩だった。同じ美術部員で由樹人くんの描いていた絵をあたしが褒めたことがキッカケでよく部室で話すようになった。そうしたら家も近いことを知って由樹人くんは益々あたしに懐くようになった。
 中学を卒業して高校生になってからも会う度に話しかけてくれて、何だか可愛い子だな、とあたしもそれを嬉しく思っていた。

 だけど全然、気づかなかった。由樹人くんがまさか、あたしのことを好きだったなんて。
正直、あたしにとって由樹人くんは大事な後輩以上でもそれ以下でもなかった。だから、自分の気持ちに正直になって断ったはずなのに……。


「由樹人くん、大丈夫かな……」


 誰かの告白を断ることがこんなに苦しいものだったなんて、知らなかった。