からっぽ。

《歩実》



ホテル“R”の前。


もう、会わないつもりでいたのに、声を聞いたとたん……

ココまで来てしまっていた。


会うべきなのか、会わない方が良いのか……
駐車場に停めた車の中で、私は降りる事が出来ないでいた。

本当は、心は決まっているのに……

悩む時間が必要だと思ったから。



『話をするだけ……』

自分にそう言い聞かせて、部屋のドアをノックする。


「歩実か?」


七年もの間、聞き慣れたあの人の声。


「うん……」


部屋に入り、二人で向かい合う様に座った。


「歩実の居ない生活が……、考えられないんだ………」