からっぽ。

「そういえば……、
歩実さん、何かあったんですか?」

「ん?何で?」

「いや……。何となくなんですケド……、昨日の歩実さん、少し変だった気がして……」

「そう?
七年付き合った彼と別れただけだョ」

「………」


あえて、平気な顔をして話す、歩実さんを前にしては………

俺から聞いたのに、気の利いた事は言えなかった。


「不倫だったんだぁ……。気が付いたら、来年は30。参ったね」

「大丈夫ですョ。これから、いくらでも恋は出来ます」


歩実さんは黙っていた。


車内はしばらく、ラジオの音だけが流れていて、I海岸が近付いた時、歩実さんが言った。


「坂下。無責任な事は、言っちゃダメなんだョ………」