からっぽ。

《歩実》



珍しく、まだまだお酒が飲める気がしていた。

酔っているのに、
『飲み足りない』と、思っていたのだから………


香子は、急用が出来たらしく、先に帰ってしまった。


私も帰ろうかと思ったケド、酔いに任せて騒いでいた。


それでも、他のお客さん達が帰り始めると、“居ずらさ”の方が勝ってしまい、店を出てフラフラと歩き出す。



誰かが、私の腕をつかむ。

驚きながら、ゆっくりと振り返る……



「ドコに行くんですか?」

「う~ん……。飲みに行くョ」

「じゃあ、一緒に行きますョ」



坂下だった。