からっぽ。

高校を卒業してから、私は10年間、夜の街で働いていた。



その頃、名前だけは聞いた事があったお店。

“ボーイズバーK”

そこに、その男は居た。


やたらと愛想の良い、その男が、香子が誕生日を一緒に過ごしたいと思っている相手。



若い頃に“水商売の男”と一緒に暮らして、辛い事を沢山経験した私には、どうでも良い男だった。