からっぽ。

《歩実》



足の爪を切った。

爪の先にだけ残った、ピンクのネイルを見て、だいぶ時間が過ぎた事を知った。


仕事にも行き、人と会話もしてるハズなのに、覚えていない……


爪が伸びた。


それだけが、私が生きていた証し。


“最近、連絡がとれないけど、何かあった?”

たまに来る、香子からのメール。


私は、返信しない。


坂下を思い出す人や場所。

全ての事から離れたい。


せめて、もう少し………