からっぽ。

「おはよう」

午後8時を過ぎていたが、これから仕事に行く俺に向かって、歩実さんはそう言った。


「おいで」

歩実さんの言葉に、相変わらず両手を出して、すぐに行こうとする。


実家の母親でさえ、最初は懐かず、仕事に行く時には、俺の後を追って泣いたりした。


それなのに……

「バイバ~イ」

歩実さんの言葉に合わせる様に、手を振る仕草までしようとする。


やっぱり、彩葉には母親が必要なんだ………


そう思わずには居られない程、彩葉は歩実さんに懐き、安心している様に見えた。