からっぽ。

「おいで」

両手を出して、笑顔で子供の顔を見た。

見慣れない私の顔を見ても、イヤがる事がなく、こっちに来ようと両手を出す。


抱きかかえて、あやしてみた。


小さな手で、私のシャツを掴み、私の胸元に顔を埋めて来る。


私は、とても愛しく感じ、子供の母親に対しての感情が、吹き飛んでしまう。


「名前は?」

坂下に聞く。


「彩葉。彩る葉っぱの葉。
俺が、付けたいと思ってた名前なんだ……」


私への気遣いなんだろう。


『この子は、俺だけの子供だ』

そう言って、彼女の存在を否定している様に感じた。