からっぽ。

《歩実》



「もしもし、俺だけど…」

坂下から連絡があったのは、陽も傾き薄暗くなりかけた頃。


「大丈夫?」

私は、坂下の精神状態が心配だった。


ずっと夢見ていた様な、幸せの中で子供を授かる………


今の坂下には、程遠い出来事に思えるから………


「…うん………、
心配かけて……ごめん。
……後でまた……連絡………するから……」

ちっとも大丈夫じゃない電話なのに、私は何も出来ない。


「分かった。待ってるからね!」


それだけ言って、電話を切る。