からっぽ。

《要一》



早産で産まれた子供は、小さなケースの中で幾つかの線に繋がれたまま、眠っていた。


この世に生まれて、一時間も経たない“人”を見たのは初めてで、神秘的な気持ちになる。


『生まれて来てくれて、ありがとう』


本当なら、そう言って抱きしめてあげたい。

それは、俺の夢でもあったんだ………





小さな足が動いた。


「……………」



「お父さんですか?
大丈夫。元気ですョ」


ケースの中の子供をジッと見つめる俺に気付いて、看護士が笑顔で声をかけてくる。


「でも……足が……」

そう言いかけた時、裕美の父親が近付いて来た。


「ちょっと良いか…?」