からっぽ。

「ドコに行くの?」

ココがドコなのか分からない程、遠くまで来てしまった。

以前なら、一緒に居られるだけで嬉しかったのに、今は、帰るまでの時間や明日の仕事を気にしてしまっている。


「このまま……ドコかに……行ってしまおうか………」

「何……言ってるの?」

真っ直ぐに前を見たまま、真面目な顔で言う。

私は、そんな正行さんが少しだけ怖くなった………


「歩実が……
これから先、違う男に抱かれる事が……我慢出来ない………」

私を『愛してる』と言いながら、家族を大切にする。

正行さんは、そういう人のハズ………

今まで見た事のない表情が、怖い。


私は、信号が赤になったと同時に、車から飛び出した。


ただただ走る。


車が、見えなくなるまで………