「せんせー何するん?」

一人の女子が聞く。

「面白い授業だよ。航空写真ももしかしたら撮られるかもしれない」

男子たちがもっと詳しく教えてよーと言う。あいつは、男子達に近づいた。

「敬語を使え」

放送の時とは比べ物にならない、恐ろしい声。背筋が凍えそうになる。見下ろされる男子は顔が真っ青になる。女子は何も言わない。

やっぱり、あいつの本性は……

教卓に戻り、黒板に何かを書き始めた。

「目上の人に敬語を使うのは当然だろう?俺はこの世の王となるべき存在だ。まずはここからだ。貴様らを再教育し、完璧な国家を創る」

「言っている意味が分かんねえな」

樋口 隆(ひぐち たかし)が鼻で笑った後、ハッキリそう言った。樋口は問題行動を何回も起こし、よく怒られている。私はこいつの事好きではないが、この状況で言えたことは評価する。

「分からないか……」

そう言った後、樋口の手を掴む。そして、手のひらに針を思い切り刺した。樋口は叫び声すら上げなかった。何かを言いたそうにしているが、声が出ていない。

あいつは何がしたいんだ!?私は震えが止まらなかった。これから私たちはどうなるか。考えたくなかった。