3時間目の数学、まともにノートも取らずあいつのことを考えた。ノートは後で優ちゃんにて写さしてもらう。
私はこう考えた。あいつはかなり有名な大学を卒業したらしい。成績はいつも1番。この話が本当だとすると、あいつ……人を見下しているのではないか?
見下されるのは大嫌いだ。あいつとはやっていけん。なんとかして山梨先生に戻ってもらわないと。
今日、山梨先生について調べようと脳内手帳に書いた。

4時間目は道徳。あいつに道徳教えられるのは嫌だなと思いながら窓の外を見る。校門開いてるなあ。あそこから逃げ出したいなあ。
この学校は高い所にあって、大きな坂を登って登校する。裏は険しい山がある。毎日登校していると、小学生の時は貧弱だった私でも足に筋肉がつく。
授業がもうそろそろ始まるので自分の席に戻る。そのとき、学校の放送が入った。

「クラスの窓を閉めて下さい。鍵も忘れないで」

低い、不気味な声だった。あいつだと一発で分かった。他の人はあれ誰?とか、錐山先生に似てるけど……とざわついた。

指示通り、窓を閉める。私はとたんに息苦しく感じた。酸素は大丈夫なのか?気分が悪いから保健室に行こう。上手くいけば早退できる。

「皆いるかな?」

立ち上がろうとしたところに、あいつが入ってきた。

「これを今から全部の窓に貼って欲しい。窓際の席の人にやってもらおうかな」

お化け屋敷でもするのかな?とか、今日の授業で使うんじゃないと周りが言い始める。
私は窓を見るのが好きだったけど、紙を渡されたので嫌々張り付けた。しかし、何でこんな黒い紙なんだ。黒は好きだけど、窓に貼るのはどうかしている。これじゃ、もっと息苦しく感じる。