四階に着くと、あいつは屋上に行ったと言われた。怪我人が増え、駄目かと思ったが増援が来て逆転し、屋上に追い詰めたらしい。

「先生はもう逃げられない。ここから落ちるのは駄目だからな」

こっちが死んではいけない、相手を殺すのも駄目。死者は出さないとみんなで約束していた。

「そんな馬鹿なことはしない。俺が死ぬなんてことは無い」

あいつがこのまま生きて警察に捕まれば、私たちの役目はこれで終わりだ。警備隊もほとんどが捕まって、洗脳を解かれている途中ので後はこのまま警察が来るのを待つだけか。

「お前らはどうか知らないがな」

木下があいつに頭を殴られる。木下が倒れ、周りは騒然となる。木下から赤い血が流れている。

「木下!」

名前を叫んだが反応は無い。まさか、木下が……

「大丈夫です。あれは……」

美術部員の、不気味な絵を描くことで有名な鈴村 留意(すずむら るい)が木下を見ながら言う。そして、小声であれはフェイクです、と言った。

「これ、あなたにもあげますね」

小さなチャック付きの袋と筆を渡された。袋には、赤い液体が入っている。血そっくりだ。これで、怪我をしたふりをするらしい……