「あなたはゆっちゃんの友達?」

「えっと……ただのクラスメイトです……」

私が怖いのか下を向きながら言う。ただのクラスメイトと言っているが、優深のことを気にかけているようだ。

「あの……ごめんなさい!」

「えっどうしたの!?」

「僕、升山さんが困っている時何もできずただ見ているだけで……」

泣きそうになるのを抑えながら、小さな声で言う。

「そんなことないよ!いつも頑張って助けてくれているし……無視する人もいるのに話しかけてくれて嬉しかったよ」」

優深が励ます。

「ありがとうございます……」

心配してくれている人がいてよかった。邪魔しないでおこうと思い、一年五組を去ることにする。
何か使える物は無いか探すため、技術室に行こうとした時、あの男の子が走ってきた。

「どうしたの?」

「升山さんのお姉さんは、ここを脱出しようとしたんですよね?」

うんと頷く。

「今でもこの学校から逃げ出したいとか、学校を変えたいと思っていますか?」

さっきとは違い、私の目を真っすぐ見る。

「うん、もちろん。もうすぐ皆で帰るつもり。その前に、先生に派手な挨拶をするよ」

あの作戦が成功したら、皆帰れる。皆変わるはず。

「僕も、帰りたいです!あなたについてきてもいいですか?」

それは、危険な作戦に参加するということ。それをきっと知っていない。

「派手にやるから、危ないよ」

「大丈夫です!覚悟はできています!」

あの表情は、嘘をついていないだろう。

「分かった!あなたを、一年生解放隊 副隊長に任命するよ!」


その夜、木下たちに説明して正式に副隊長になった。名前は、石城 要(いしじょう かなめ)というらしい。