人がいないわけではないけど、比較的人通りが少ない校舎の方まで私たち三人は無言できた。
カツカツ、と菅野さんが履いている靴の音だけがやたらと響く。
「わたし」
ぐっと人が少なくなった時、菅野さんが口を開いた。
「二人に…特に奥田さんに許してもらいたいとか、そう言うのじゃ」
「じゃ、何でそんな…そんな平然な顔で来れるのよっ!
紘那は…紘那はっ……っ」
堪えかねたように葵の目から大粒の涙が溢れた。
葵は怒りを抑えるように、右手首を自分の左手で鬱血するんじゃないかってほど握っている。
「今、通ってる高校に…奥田さんと同じ境遇の子がいて…
『どんなに離れてても、連絡がとれなくても…心のどこかで繋がってると思う』
って、その子が言ってたの」
そう、友達の話をする菅野さんの顔からは恐怖は感じられず、むしろ愛おしそうな顔をしていた。
「奥田さんとにっしーも、そうなんだなって。やっと気付かされたから…謝りたくて」
「菅野さん…」
私は無意識に首元に光るネックレスに手を伸ばし、壊れないように優しく握りしめた。
