赤い月夜が全てを照らし出してる時にその物語は始まる。
「おい、もう時間がないぞ!」
額に白いハチマキを巻いている男性が草むらに身構えながら、近くの木を盾にしている童顔の男性に向かって話しかけた。
「大丈夫だよ、キール。儀式には時間がかかるから、それまでに決着をつけよう」
額にハチマキを巻いている男性・キールはその言葉を持ちかけられても焦りが身体中から出ていた。
「コリー、これからワシらはどう動けばいいんじゃ?」
木の上から黒い影が見えたかと思うと、その男性はその真下の木を盾にしているコリーに話しかけた。
「うーん。どうしようかな。作戦考えるから、アーロンとキールは時間稼ぎしててね」
暗闇でよく見えなかったが、コリーは顔の前で両手を合わせながら笑顔で頼んでいた。
「おいおい、俺達もう、30歳を超えたんだから、その子供みたいな口調どうにかならないのか?」
ため息混じりにコリーの動作に注意をするが、特にコリー自身気にしてない様子だった。
「その話はこれが終わってからにしよ。二人とも頼むね」
その言葉と同時に片手に持っていた刀を地面に突き刺すとその場に座り込み始めた。
「そういうことじゃ。キール、ワシらはあいつらを…来たぞ!!」
刹那
無数のひし形の石がキール達のいる方へ飛んできた。
「キール!!」
「分かってる!!ワイヤーがあるんだろ」
ポーチに引っ掻けていた銃を取り出すと、そのひし形の石とワイヤーの結び目部分に向かい発泡した。
何発渇いた音が発したか分からなかったが、飛んできたひし形の石は全て地面に落とされた。
「さすがじゃな。キール」
月夜が動いた事で、木の上にいたアーロンの姿がハッキリ見えた。忍び装束に身を包み、腕組みをしながら、キールの動きを一部始終見ていた。
「いや、まだだ!!」
先程落とされたひし形の石は、落とされたままかと思うと、そのまま土の中に引き込まれていった。
石が全て飲み込まれたかと思うと、そのまま土の人形が姿を現した。
「なるほどの~。次はワシが相手になろうかの」
その言葉と同時に何体もいる土の人形の上まで飛び上がると、そのまま頭を下にしながら群れの中に落ちていった。
「忍法:地砕き!!」
地面に拳を当てるとそのまま、周りにいた地面が半壊し、そのまま土の人形全てを飲み込んでいった。
「こんな小細工をせんと、早よ姿を見せたらどうじゃ?」
アーロンの言葉から少し間が空いたが、ひし形の石が飛んできた方向から、赤いドレスを身に纏った金髪の女性が現れた。