「あの、実咲は‥‥」 「どうぞ、中に入って」 そう言われたので、俺は部屋の中に入る。 岸田さんは、前に会った時とは違う、悲しそうな表情をしていた。 中に入ると、カーテンが空いた窓から入る風で、そよそよと揺れている。 「‥‥‥‥‥‥‥‥」 俺は、そこに突っ立ったまんまで、言葉を失った。 窓のそばに置いてある一つの花瓶。 その中には、半分花びらがない黄色いガーベラ。 その隣には、何やら紙切れが置いてあった。