「いや、俺がそうしたかったって、言ったろ?」

「うん、それでも……言いたかったの」

ありがとうって伝えたくなった。

私の家族まで大切にしてくれたその優しさが、嬉しいから。

「添田、マジで律儀だな」

立ち上がりながら、苦笑いを浮かべる宇佐見くんが、私の頭をポンッと撫でた。

「わっ!」

びっくりして、宇佐見くんの顔を見上げる。

柔らかく細められた目は、驚くくらいに優しい眼差しで、照れるよりも先に目を奪われた。

本当に、宇佐見くんは真っ直ぐで澄んだ瞳をしてる。

まるで、あの男の子みたいに……。

「じゃあ、添田、明日の事、メールするから」

「うん……待ってるね」

今日は、宇佐見くんからの連絡が来るまでスマホを手放せなくなりそうだ。

宇佐見くんとの電話、メールが待ち遠しくなったのは、いつからだったのか…この胸の不思議な気持ちに、整理がつかない。