「おい、それ誰のことだよ」

宇佐見くんは、鼻で笑ってそう言った。

そうだよね……。

宇佐見くん、私なんかと一緒にいるの、嫌に決まってる。

可愛そうだから、傍にいてくれただけだ。

なのに、わかってるのに……なのに……。

ズキズキと胸が痛い、泣きたくないのに、視界がぼやける。

「クスクス、相手にすらされてないみたいだね」

「そりゃあ、ビッチ相手だもん、無いでしょ!!」

「アハハッ、本当だよね〜」

周りで噂をする女子達。

普段なら気づかないふりができるのに、宇佐見くんのことになると、こんなに……悲しいなんて…。


「俺のダチをビッチ呼ばわりすんじゃねー」

………え?

宇佐見くんの言葉に驚いて、目を見開いた。


「え、樹……??」

「オイ、分かったか」

クラスメートを見下ろす宇佐見くんの視線は、絶対零度の瞳だった。

冷たくて、その中に怒りを灯す宇佐見くん。