そして、何度も沖田先生にアタックするうちに、沖田先生も私のことを好きだと言ってくれた。
『卒業したら、結婚しましょうね』
優しく微笑んで、そう言ってくれたのが嬉しくて舞い上がってたんだ。
その数日後、先生に抱きしめられている所を、他の先生にに見られてしまった。
『あなた達、何をしているんですか!!』
『こ、これは……添田さんがどうしてもと言うから…。私は、何もしていません!!』
先生なら、私を守ってくれる。
先生なら、こんな弊害も乗り越えて、私と一緒にいてくれるって思ってたのに…。
心が、壊れていく音がした。
先生は私を捨てて、裏切って、保身の道具にした。
それが、私に恋とか運命とか、そんなモノを信じた方が馬鹿なんだって、思わせたんだ。
それからは、仲良かった友達も離れていって、私の噂も尾ひれがついてビッチ呼ばわりだ。
それもこれも、私が悪い。
あの馬鹿な男を信じた私が……。
本を開きながら別のことを考えていた私の隣で、ガタッと音がした。
視線を横に向けると、隣の席に誰かが座るのに気づいた。
すると、「くあっ」と欠伸をする男子がいる。
サラサラの黒髪にキリッとした眉、澄んだ涼し気な瞳、すごく整った顔をしている。
スラッとした手足で、背も高く、確かクラスでも人気のある男子。
キラキラとした決してしつこくない静かで澄んだオーラを持っている彼は、確か……。


