♪〜♪〜♪〜
本当だ……声が気にならない。
クラスメートの嫌な噂も、先生の声も……。
音楽が、消し去ってくれた。
宇佐見くんの選曲なのか、ゆっくりとしたバラードで、気持ちが落ち着いていく。
私は、宇佐見くんに『ありがとう』と口パクで返す。
すると、宇佐見くんは困ったような、それでいて優しい笑みを浮かべて前を向いた。
宇佐見くんは、もしかしたら他の人とは違うのかもしれない。
いつも悲しい気持ちで受けていた数学の授業が、今日は少しだけ、温かい気持ちで受けられた。
ーーキーンコーンカーンコーン。
「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」
クラス委員の掛け声で、数学の授業が終わりを告げる。
「あの、宇佐見く……」
ヘッドフォンを返そうと、宇佐見くんに声をかけた瞬間、「添田さん、ちょっと来なさい」と沖田先生に呼ばれた。
え、何………?
沖田先生が、私に話しかけてくるなんて……。
噂の事があってからは、ずっと無視されてたのに…。
不安な気持ちでいっぱいになり、私は先に教室を出た沖田先生を呆然と見送る。


