教室に戻って、私は席につく。
午後の授業が始まる直前に、宇佐見くんは席に戻ってきた。
私は、宇佐見くんを視界に入れないように、真っ直ぐ前を向く。
「なぁなぁ、沖田先生の授業だろ」
「ひゃ〜、ビッチどうすんのかな〜?」
そう、この授業は数学の沖田先生の授業なのだ。
声も聞きたくないし、見たくもないけど、授業に出ないわけにもいかないから、しょうがない。
それに、これが初めての事じゃないから…。
ーーカラカラカラカラ……。
「はい、それでは数学始めますよ」
ボサボサ頭の、メガネをかけた沖田 和先生。
別に、容姿が好みとか、そういうんじゃない。
ただ……。
ただ、熱心に授業をする姿に、惹かれただけだよ……。
思い返すと、ジワリと目に涙が滲む。
『こ、これは……添田がどうしてもと言うから…。私は、何もしていません!!』
ズキンッ、ズキンッ……。
痛む胸に、歪む視界に、馬鹿だなと自嘲的な笑みを浮かべた。
私はまだ……立ち直れてないんだ。
弱いまま、何も変われてない……。


