「七海に手出すなら、俺が黙ってねーって事。お前らもわかったな?」
静かに、私達のやり取りを傍観する生徒たちに言い放つ。
すると、それに圧倒されたのか、皆が頷いている姿がちらほら確認できた。
「七海、お前のことは俺が守る」
「樹くん……私は、樹くんにもらってばかりで、何をどう恩返ししていいのか、分からないよ…」
優しくしてくれて、こうして守ってくれて……。
私は、樹くんに返せるもの、何もない。
「じゃあ……俺の隣で笑っとけ」
「笑っとけって……それだけ?」
それじゃあ、私が樹くんにもらったものとは釣り合わない。
私の笑顔に、それほどまでの価値なんて無いと思うけど…。
「七海の笑顔が、見てーの」
「は、はぁ……」
「ほら、笑えって」
「そんな無茶苦茶な……って、あ……」
なんだか、クラス替えの時みたい。
あの日、隣の席になった樹くんと、笑う笑わないの攻防戦をしたっけ。


