「樹ー、バスケ始まんぞ!」
すると、クラスメートが樹くんを遠くから呼んだ。
あぁそうだ、樹くんバスケに出るんだっけ。
「おー、すぐ行く」
そう言って樹くんは私に向き直った。
「亮ちゃん、俺がいない間は、七海の事頼む」
「おぉ、任せとけ!」
亮くんは笑顔で頷くと、樹くんに親指を立ててグットの合図を送った。
「樹くん、大げさだよ。私は大丈……」
「大丈夫じゃねーのは、俺の方。七海に何かあったらって、不安になんだよ」
「私、迷惑になってない?」
樹くんの負担になっていないか、不安になるよ…。
樹くんは私に隠し事なくゲームのことを伝えてくれた。
今思えば、嘘だってつけたはずなのに……。
樹くんがどんなに真っ直ぐな人かなんて、とっくに知ってるのに、私は……。
いまだに人を信じることを怖がっている。
そんな私は……優しくされる権利なんてない。


