「だ、大丈夫……っ」

本人はそう言ったけど、顔は真っ青で、とても大丈夫そうには見えない。


「私、保健室に行くところなので、送ります」

「あ、いや……そこまで世話になるわけには…」

「気にしないで下さい」


私が笑うと、男子は目を見開いた。

そして私の顔を見ると、「あ」と声を上げる。


「ビッチ……」

「はは……」


私の噂、知ってるんだ。

苦笑いを浮かべて、私は男子の腕を支え、立ち上がらせる。

顔見かけたことないし、別の学年だと思うけど…そんなに私って有名なんだ……。


「歩けますか?」

「うぅ、スンマセン…」

男子の腕を持って、保健室まで歩く。

すると、男子が私を見つめていることに気づいた。


「なに?」

「あっ……えと……話すところ、初めてみたな……と」

「そう……」


それっきり、会話は無くなって、保健室にたどり着く。