「そうよ、どうしてビッチなんかが……」

「なんのことかわからないけど……これは、私が小さい時に作ったお守りなの」

「え……じゃあ、ビッチが樹くんの……」

「え?樹くん??」


どうしてそこで樹くんが出てくるのかが分からない。

だけど、三枝さん…なんか顔色が悪い。


「ハハ……そーいうことなの。本当、どこまでも邪魔なヤツ」


顔色が悪いかと思えば、不気味に笑って、自分のロッカーへと歩いていってしまう。


「何だったの、今の……」


不思議に思いながらも、私はひまわりのとんぼ玉を胸元に入れて、ジャージを羽織った。


そして、保健室へ顔を出そうと廊下をあるいている時だった。

「うぅ……っ」

廊下の端に、うずくまっているジャージ姿の男子がいた。

「え……だ、大丈夫ですか?」


私は慌てて駆け寄り、顔を覗き込む。

赤みがかった、茶髪の男子で、とても整った顔をしていた。